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スヌーピーの作者、シュルツさんの魅力的な「公私混同」する暮らしかた

少し前のことになりますが、2013年10月12日〜2014年1月5日まで六本木ヒルズの森アーツセンターで開催されていた「スヌーピー展 しあわせはきみをもっと知ること。」を観てきました。

スヌーピーのパペット人形

くたっとした感じがかわいいスヌーピーのパペット人形(撮影可能スペースにて)

「スヌーピー」と聞いてかわいいビーグル犬をすぐに思い出せる人がほとんどだと思います。そういう私も、子どもの頃から身のまわりにはスヌーピーグッズがあったり、友人のひとりが「スヌ様」と呼んで崇めたりしていたので、特別に大好きというわけではないものの親しみを持って育ちました。

スヌーピーの生みの親はチャールズ・M・シュルツさん。スヌーピーは「ピーナッツ」という漫画のキャラクターのひとり(一匹)でした。

「ピーナッツ」は、チャールズ・M・シュルツ氏が1950年から2000年まで描いた新聞連載漫画で、描かれたエピソードは実に17,897回を数えます。(中略)スヌーピーや小鳥のウッドストック、チャーリー・ブラウンやルーシー、ライナスをはじめとする子どもたちなど、登場するキャラクターは70を超えます。個性的なキャラクターが織りなす、くすりと笑え、ときに切ない日常は、今なお世界的な人気を誇っています。シンプルなイラストとリズミカルなレタリングとの組み合わせも、作品の大きな魅力です。

「ピーナッツとは – スヌーピー展 しあわせはきみをもっと知ること」

「スヌーピー展」の内容

シュルツさんの原画100点はとても見ごたえがありました。実は、途中で疲れてしまったほどの作品数。でもあれだけまとまった数を一度に見られたのはいい経験でした。原画の迫力や生の筆遣いなどのタッチ、大部分が4コマと限られた漫画でありながらシュルツさんの工夫や情熱の伝わってくる原画を見ているうちに、描かれているキャラクターへの愛着がふつふつとわき上がりました。

展示数は充実していて、作者のシュルツさんご本人にフォーカスが当てられていました。シュルツさんの生涯になぞられています。

子供時代は引っ込み思案だったこと。だけどその頃から「新聞に連載漫画を描くこと」が夢でした。第二次世界大戦での従軍を経て、文字入れなどクリエイティブな仕事とは言いがたいながら、漫画家としての下積みの経験をしていきます。粘り強く努めた末に、子供の頃からの夢をかなえられたこと。

プライベートではゴルフ、テニス、アイススケートとスポーツを楽しんでました。シュルツさんが実際に使っていたスポーツグッズやウェアが展示されている横に、スヌーピーや他のキャラクターが描かれた大会のパンフレットも展示されてありました。アイススケートに関しては1年以上かけてつくったイベントを主催するほどの入れ込みよう。

それも毎日の「ピーナッツ」の連載を続けながら。

シュルツさんが漫画家としての仕事も、プライベートも分け隔てることなくどれも心から楽しんでいたことが伝わってきます。

ゼンマイ式のスヌーピーのおもちゃ

ゼンマイ式のスヌーピーのおもちゃ(撮影可能スペースにて)

「スヌーピー展」で最も印象に残ったシュルツさんの暮らしかた・働きかた

それは日本語の「公私混同」という言葉を使うと悪い印象を残してしまうかもしれません。ですが、シュルツさんの暮らしかた、働きかたはいい意味での公私混同だと思います。

「ピーナッツ」の漫画のすみずみにシュルツさんの人としての魅力が感じられます。彼が仕事とプライベートの両方を境い目をつくらずに楽しんでいたからこそ「ピーナッツ」のエピソードはバラエティ豊かで、時に教訓的であったり、心に沁みわたったりする作品になったのだと確信しています。

(やったことがないのでわかりませんが、たぶん)中途半端な気持ちで、たくさんの人が参加するようなスポーツのイベントを主催することはできません。漫画の連載を50年間続けたことも、シュルツさんがイラストレーターとしての自分の仕事を楽しんでいたから続けられたのでしょう。私にも10年以上続けていることが何個かありますが、それもやっぱり好きじゃなかったら続かなかったと思います。

公私混同の暮らしかた・働きかた

「スヌーピー展」がはじまる少し前に、「ほぼ日刊イトイ新聞」の糸井重里さんがまさに「公私混同の働きかた」についてインタビューでお話されていました。

ワークライフバランスって、オンかオフかって話ではないと思うんです。つまり、楽しみとして仕事している時間だったら、今はオンとオフどっちなんだ?ってなりますよね。あるいは、遊んでいる間に思ったことが、次の仕事にものすごく大きなヒントになるかもしれない。例えば、家族で海に行ったときに得るものもあって、その感覚を持ってない人と比べると、後から違ったパフォーマンスになりますよね。僕は公私混同って言い方をするのですが、公と私をそんなに区別できるのって、単純労働だけだと思うんです。

『糸井重里さんに聞いた「公私混同」する働き方 (1) 「働いている時間とそうじゃない時間が混じって、その人のキャリアになる」 | マイナビニュース』

私自身の話になりますが6年間くらい、カメラと写真に関わる仕事をしていました。カメラも写真も大好きだったので、寝ても覚めても写真のことを考えて、ますます好きになるというサイクルでした。

今、仕事にしているWebデザインは、中学生の頃に好きでWebサイトをつくりはじめた自分の興味関心がそのまま続いています。デザインの専門学校へ入って、ひとり暮らしをはじめてからの学生時代に、週末はバイト以外には出かけずに家でWebサイトをつくっていることが多かったです。つい熱中してしまい気がつけば夜(または深夜)になっている…というのは、今でも時々やってしまいます。

自分なりの工夫を凝らして、暮らしかたを見つけたい

かつての友人は「仕事とプライベートを完全にわけたい」という主義を貫き、あまり好きそうではないように見える仕事をしていました。その友人にはものづくりの才能も人としての魅力もあって生かさないのはもったいないなぁ、とかつての私は思いました。でも彼女は「仕事でプライベートを侵食されたくない」と言っていましたが、言葉を変えれば「プライベートを大切にしたい」という気持ちではないでしょうか。

スヌーピーのオルゴール

フライングエースのスヌーピーのオルゴール(撮影可能スペースにて)

彼女は望んでいなかったので必要がないのだろうけど、先ほどの引用文で糸井さんがおっしゃっていることは、働いている時間とそうじゃない時間のそれぞれに「自分なりの工夫を凝らしなさい」ということだと、私は思っています。「公私混同する働きかた」は「プライベートを侵食する働きかた」とは違うのではないでしょうか。

暮らしと分離させていないということで敢えて糸井さんとはちがう「公私混同する”暮らしかた”」と呼びたい。シュルツさんはイラストを描くのが大好きで、漫画を描くことを仕事にしていました。77歳まで書き続けられたのは「公私混同する暮らしかた」だったからこそ。

工夫も努力も必要なことですが、私も(いい意味においての)「公私混同する暮らしかた」を形にしていきたい。シュルツさんは憧れの形のひとつという発見を「スヌーピー展」でしました。「ピーナッツ」、読んでみます。

関連動画

ピーナッツ公式チャンネルから。いくつかのキャラクタープロフィールがありましたが、サリーの動きがいちばんかわいかった。
The Flying Aceのスヌーピー。やや邪悪な表情もにくめないし、スヌーピーの数々の変身は「ピーナッツ」のひとつの魅力。

「スヌーピー展」紹介記事