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「ムーミン展」と幻のヤンソン挿絵版「ホビットの冒険」のこと

4月16日〜5月6日まで松屋銀座で展示中の「ムーミン展」を観てきました。

ムーミン展のチケット

ムーミン展のチケット

2014年はトーヴェ・ヤンソンが1914年に誕生してから100年に当たる年。本家フィンランドはもちろん、幅広い世代に親しまれている日本でもお祭りムードです。松屋銀座での「ムーミン展」は平日の昼にも関わらず、自分のペースで観賞するのはむずかしいほどの盛況で、日本でのムーミンの人気を改めて感じました。

私は小学生の頃にムーミンのアニメ「楽しいムーミン一家」を見て育ちましたし、トーヴェ・ヤンソンの原作も読みました。そしてムーミンに関する展覧会があると足しげく通っています。ちなみに、前回のムーミン原画展は2009年春の大丸ミュージアム・東京で、でした。トーヴェ・ヤンソンの読み物の作品を網羅はまだしていませんが、私の好きな作家の3本指に入るお方です。

ムーミンシリーズを読んだのはだいぶ前のことですが、原画を見てその時の記憶を思い出しました。好きなところは、環境を自分たちに合わせようとすることなく自然の環境の中に根ざして登場人物たちが暮らしていること。

我が家の蔵書のムーミン原作(あれ?足りない…)

我が家の蔵書のムーミン原作(あれ?足りない…)

原画は小さなサイズのものが大多数ですが、描きこみのきめ細やかさやペンのタッチの豊かさに感動せずにはいられませんでした。海の険しい波や奥深い森の様子の豊かさは原画だからこそ感じられるように思います。どんなささやかなスケッチや習作でも、作品の前でため息をつかずにはいられませんでした。

ヤンソンの「ホビット」

ところでムーミン展を観に行かれた方は冒頭の作者紹介に「ホビット」と「トールキン」の名前が出てきたことを覚えておいででしょうか?

2012年から順次公開されている映画「ホビット」3部作のスウェーデン語版の挿絵をトーヴェ・ヤンソンがつけていることは、トールキンファンのあいだではよく知られているのですが、この本がとてもレアで入手することができないでおります。 (フィンランド語版も販売された模様)

見せていただいたフィンランド語版

幸運にも10年近く前に入手できたというお方から、ヤンソン挿絵のホビットを二度に渡って見せていただいたことがあります。ヤンソンはムーミンの世界とはまったく違うものにしようと絵を描いたそうですが、意外にもスウェーデンのトールキンファンには当時受け入れられなかったそうです。そしてこうして眺めると、やはりヤンソンの世界観の中で生きているホビットやドワーフの絵に思えます。

トールキン、ヤンソン両氏のファンの私からするととてもうれしい組み合わせなのですが、いかんせんレアアイテムで何年も探し求めております。スウェーデン語でもいいので再販していただきたいと願ってやみません。なんなら、トーヴェ・ヤンソン生誕100周年で、映画「ホビット」も公開されている今が、日本でもヤンソン挿絵版「ホビットの冒険」を出版するいいタイミングではないかと、心のすみっこで思っております。

references

Zépé Tove Jansson’s illustrations: »The Hobbit«
ヤンソンの「ホビットの冒険」のイラストが掲載されています。
ムーミンのホビット|人文学部:教員用:伊藤 盡|信州大学 人文学部
ヤンソンが挿絵を描くにいたった経緯やその後のスウェーデンの反応が紹介されています。